第十回 「倫理憲章」を正しく理解しておくこと | ■就職活動塾 対等に戦うためのホンネの「良い就職活動」講座■

第十回 「倫理憲章」を正しく理解しておくこと

さて、今日はいよいよ4月間近ってことで、「倫理憲章」についてお話しておこうと思います。
知っている人はゴメンナサイ、でも企業側ふくめた裏の理屈はお伝えしたほうがいいかな、と思ってエントリーしました。

■「倫理憲章」ってなんだ?
正式には「新規学卒者の採用・選考に関する倫理憲章」共同宣言といいます。
日本経団連が中心になって、「採用の早期化」に歯止めをかけようと展開しているものです。
この「倫理憲章」自体は昔からあったのですが、昨年から改めて企業のハンコをもらって、宣言する企業を明らかにするってスタンスになったので、急に話題になったりしたわけです。

なんのためにそんなことを、と思われるでしょうが、一応目的としては
1)あんまり早く就職活動をすると、学業に支障をきたす
2)早く採用活動した企業が有利だと、どんどん採用が早くなる。公平にしたい。
という2つのお題目をかかげています。
昨年は644社が宣言しました。
今年もほぼ同数が宣言しているのですが、中心的な会社の一つであったM自動車が不祥事もあって求心力を失い、やや形骸化感が出てしまったのを必死で耐えている、というちょっと寒い現状もあります。

で、結局「4月1日以前は選考をしない」というところで決着しているのが倫理憲章です。
大手企業が妙に面接遅いな、と思ったらまずこの宣言に加わっていると思って間違いありません。

いずれにしても、「選考をしない」というのがポイントで「採用をしない」ではありません。これはまた後ほど触れます。

■で、有効に働いてるの?
しかし、皆さんが既に体験されている通り、早かろうが遅かろうがどっちにしてもあわただしくなるのが就職活動で、(1)についてはみんなが迷惑しているという実態があります。

去年お会いした学生さんたちは、みんな4月の1週目~2週目くらいはムチャクチャに忙しい日々を送っており、一日平均2~3社の面接は当たり前、それでも全ての企業にいけず、泣く泣く志望度の低い企業の面接はキャンセルする、なんて状態になっていました。
企業側も大変で、いきなりヨーイドンで選考がはじまるものだから、他の会社とバッティングしていようがいまいが、とにかくスピード勝負で採用活動に入らなければならず、双方にとって大変不幸な状態になってしまいました。

(2)についても、結局全ての会社に拘束力があるわけではないので、倫理憲章を無視して突っ走っている企業は断然有利になり、倫理憲章に加わっている企業は指をくわえて見ている、という状態になりました。

つまり、誰にとってもあまり幸せに働いている仕組みではないのです。

■知っておかなければならないこと
しかし、メンツの問題もあるので、倫理憲章がどんなに学生・企業・大学全てから疎まれようと、イキナリ無くなりはしません。

宣言している企業は「選考しない」という縛りをかけられているので、堂々と選考をするわけにはいきません。
でも、「採用活動をしない」というわけではないので、「質問会」の名目で学生を集めたり、グループでの懇談会を開いたりします。
でも、あれは全て選考を含んでおり、事前に落とす、上げるというのを判断しています。

とにかく、知っておいて欲しいのは「4月からは解き放たれた企業が、一斉に動くぞ」ということです。
早ければ、GWまでに内定を出したいのが企業の人情です。
それほどまでに、内定出しは早く行わないと他の企業にとられてしまう、という心配をしているのです。

「他の企業はどんなところを受けて、どこまで進んでいるの?」と聞かれることが良くあると思います。今後は、もっと聞かれます。
これは、早く進んでいて、自分の採用競合の会社にとられそうだったら、こっちも急いで選考を進めよう、ということを探るためです。
ウソはいけませんが、それなりに同業界で進んでいる企業があったら、その進度を話すのもテです。

4月からは一層激しく「企業側の理屈」に巻き込まれてしまう所が出てくると思います。
そんな中で対等に戦っていくためにも、少しづつ情報を出していきたいと思いますので、みなさんもがんばってくださいね!

では、今日はこの辺で。