第七回 面接実践編:コミュニケーション能力を勘違いしてませんか? | ■就職活動塾 対等に戦うためのホンネの「良い就職活動」講座■

第七回 面接実践編:コミュニケーション能力を勘違いしてませんか?

さて、お待たせしました、いよいよ面接の実践編「良いコミュニケーションとは」をお話したいと思います。

先日、面接がなかなか通らないのは「自分とあう企業が見つからない」か「上手くコミュニケーションがとれていない」のどちらかだ、と書きました。

繰り返しになりますが、コミュニケーション能力こそ、どの企業もほぼ確実に面接の中でチェックしていて、最低限の評価対象となっていたりします。
コミュニケーション能力が高いからといって必ずしも受かるわけでもないのですが、低いと確実に落ちる、そんな落とし穴なのです。

■コミュニケーションの分類
この前学生さんに「コミュニケーション能力って具体的にどんな能力だと思う?」と聞きました。
彼は「えっと、人とうまく話すことができる能力だと思います」と回答しました。
うーん、30点くらい。

実はコミュニケーション能力は主に4つに分類され、もっと細かい単位で構成されています。
1)人の話を理解する力
2)相手が言おうとしていることを洞察する力
3)自分の伝えたいことを言語化できる力
4)話したいことを、ステキに伝える力


コミュニケーション能力が低い人は、だいたい1と2がスッポリ抜けていたりして、自分の話したいことだけをずっと話す傾向にあります。
3は得手不得手はありますが、自分の伝えたいことが全く伝わらないような事はあまりないと思います。でも、1と2がすっぽり抜け落ちていることは往々にしてあるのです。
例題をだしましょう。

面接担当者:「大学時代に力をいれたことをお話ください」

学生:「はい、私は大学時代テニスサークルに所属していましたので、テニスには力をいれました。
高校時代からテニスをやっていたので大学でもテニスサークルに入ったのですが、現在は副幹事長という役割をやっています。
副幹事長の仕事ですが、よくサークルのメンバーの意見がバラバラだったりするので、そのみんなの意見調整やスケジュール組みなどを行い、遠征の時にはリーダーシップを発揮してみんなをまとめ上げたこと、それが自分では強みだと思っています。
特に、力で抑えるやり方は嫌いだったので、メンバー一人一人の話を良く聞き、それぞれの人の意見をうまく調整しながらやっていく方法でみんなの信頼感を得ていきました。
仕事をする上でも、何事も積極的に取り組む姿勢と、人間関係を大事にする自分の強みを活かして働いていきたいと思います。」


いかがでしょう?
一見よさそうなのですが、担当者はこのとき「自己アピールしろ」とも「自分の強みを言え」とは全く言っていません。
自分の強みや、仕事のスタンスを聞いているのではなく、この担当者は「大学時代に力をいれたこと」から、興味、やりがいの源泉、がんばり度合い、実績などを聞こうとしているのです。

これを、例題のような「自己アピール」を熱っぽく語られると、担当者のほうも内心イライラしてきたりするのです。
これは「人の話を理解する力」が無い典型的、かつとても多いパターンです。

■洞察する力の重要性
でも、気をつけなければならないのは(2)の洞察する力だったりします。
先の例題だって、面接担当者の聞き方が変わって、
「大学時代に力をいれたことを簡潔に1分でお話ください」
とか
「大学時代に力をいれたことを、自分なりにアピールしてみてください」
とかに変わると、全然意味が異なってきます。

前者は、この後の話のネタとして聞きたがっており、だから1分くらいで簡潔に話して欲しい、そこから話題を広げて行きたい、と思っているでしょう。
ここでは多くを語らず、次の会話につながるように端的に自分が熱中してきたこと、どのくらい熱中したかを言えば良いのです。
後者はアピールを求めているので、先ほどの例題で「間違い」としたものもあながちダメとは言えない、ということになります。
むしろ、例題のケースくらいアピールすることが、場合によっては求められたりもします。

洞察力というのは、なかなか鍛えづらいものなので、一概に「こうすれば大丈夫」というものは残念ながらありません。
でも、注意深く相手の質問を「何を聞かれているのか」をきちんと聞けば、多くの場合ちゃんと把握できたりします。

とにかく、相手の質問を最後まで聞かないのが最悪です。
相手が質問し終わるまで、集中してちゃんと聞いていましょう。


■コミュニケーション能力とは、話術や敬語ではない
面接に失敗したと落ち込んでいた学生さんに、どこがダメだったか聞いたところ「敬語がうまく使えなかったし、なんだか話も盛り上がらなかった」と言っていました。
でも、敬語や話を盛り上げる話術はオマケでしかないのです。
もちろん、正しい日本語、上手に快活に話す話術も大事です。でも、どんなに敬語でどんなに快活に話したとしても、先ほどの「問われていること」に答えていなければ、コミュニケーションは成立してないのです。
多少、敬語を間違えたりしても、質問されたことを正しく理解し、聞かれている意図を洞察し、はなすべきことを論理的に話せるんだったらほとんど問題ないはずです。
話術や敬語を気にしてパニクるくらいだったら、質問を理解することに集中し、それに応える内容に集中しましょう。
「会話はキャッチボール」とよくいいますが、その通りです。
どんなボールを投げているのかをきちんと把握し、それを正しく投げ返すことができれば「コミュニケーションロスで面接を落ちる」ということは減るはずです。

今日のまとめ:
●コミュニケーション能力には4つの種類がある
●きちんと面接の質問を理解するように努めよう。相手の質問は、最後まで集中して聞こう
●相手が何を求めているのか、どんな回答を期待しているのか推察しよう
●話術や敬語にとらわれず、聞かれたことに正しく応える、ということに集中しよう。


明日は、実践編の続きとして「言語化する部分」「話術」の部分をお話ししたいと思います。
ではでは。